迷惑行為への対応と対策

 基本的にはメモ用の記事です。よって普通の方にはあんまり面白くも無い内容です。それにホントに長いので暇で暇で仕方が無いって人位しか見ないほうがいいと思います、マジデ。

 Wikiを運営していると面倒な方が現れて仕事を増やしてしまう事がしばしばあります。とはいえある程度運営を続けているのでその中で対応・対策はだいたい確立させています。で、ここのところblogの記事追加がずっと無くなんかさびしいので枯れ木の賑わいと自分用メモとしてその辺をまとめてみようと思います。

目次

迷惑行為の種類 

 対応や対策を行うにはまずその迷惑行為がいかなるものであるかを知る必要があります。特にその動機や理由は迷惑行為の内容などに大きく影響するのでそれで分類してみます。尚、本記事ではspam行為には触れません1

通り魔

 サイトに無関係なストレスをただ目の前にあったからという理由でそれを荒らすようなタイプです。ありていに言えば『なんかムカムカしたので壁ドンしてみた』って感じです。脈絡そのものが無く被害サイトにとっては全くのとばっちり状態です。故に対策なぞとりようもありません。通常の迷惑行為への対応を行い、お引取り願う or 引き取られてもらうしかありません。ただ、このタイプの迷惑行為者は感情任せで手が込んでない事が多いです。よってほぼ機械的に処理すれば良いので時間や手間は幾らか消費しても気力へのダメージは余り高くありません。故に対応は楽な部類です。

襲撃者

 明確に管理者やWikiそのもの、その利用者に対して悪意があり、それが動機となって迷惑行為として現れるものです。これは明確な悪意に基づく為執拗なものになります。ただ、その分悪意自体の立証が容易なので対応に於ける気苦労は殆どありません。黙々と相手の行う迷惑行為の証拠を集め、頃合を見て警告、それでダメならISPに連絡すれば良いだけです。作業自体は極めて面倒ですが、気力へのダメージは大きくないのでそんなに厄介ではありません。

ケンカ

 人が集まるゆえどうしても発生するものです。度を越すと編集合戦(結果的な迷惑行為)などになってしまいます。しかしながら普通の迷惑行為者と異なり迷惑行為をすることが目的ではないので管理者としての対応で解決が可能である事が多いです。また、自説のみを固守し他人の意見を受け入れないような方も極稀に居り、この場合は議論が議論の体をなさなくなり大きくもめる事が多いです2。これらの行動の動機は100%の悪意ではなかったりするので対応がかなり難しい部類に入ります。

基本的対応 

 迷惑行為には様々なパターンがありますが、対応方法は基本的に流れ作業にはなります。ただ、機械的に対応すれば良いわけではありません。しっかりとした心構えが必要だと考えます。

心構え

 『たとえ相手が迷惑行為者であろうとも謙虚に対応する事』が重要だと考えます。そうすべき理由は二つあります。

 ひとつは『こちら側に迷惑行為の発生原因が存在する』可能性がある事です。そういった場合、ただただ迷惑行為として機械的に処断しては本質的に問題が解決されず将来的にも再発の芽が残ってしまう事になります。それは好ましいことではありません。よってたとえ迷惑行為者の方に非が有ると感じてもその主張には可能な限り耳を傾け、拾うべき所は拾うべきと考えています。容易な事ではありませんが本当の意味での発展を願うなら忘れてはならない事です。

 もうひとつの理由は言葉は悪いですが『イメージの問題』です。Wikiに代表されるコミュニティ系サイトは人間関係がどうしても絡んでくるものですが、運営側の人間性はそれに大きく影響します。例えばサイトが有用なものであっても管理人が低俗な人であった場合、わざわざそのサイトのコミュニティに加わっていこうと思うでしょうか。良い方向に発展して行ったりするでしょうか。少なくとも私はそうなるとは思えません。よって、迷惑行為の対応には限りませんが特に管理者は基本的に高潔であることが運営における安牌となります3。とはいえ、本当に管理者が高潔である必要はありません。身も蓋もありませんが『高潔であるように見える』なら良く、それゆえ『イメージの問題』と表現したわけです。具体的に言えば、『汚かったり馴れ馴れしい言葉遣い』『上から目線』『慇懃無礼』『頭ごなしの否定』『自論の押し付け』などを避けるだけでもイメージは大きく変わります。サイトを発展させたいのであればこの程度の打算的繕い、何のこともないのではありませんか。

 ……え?私の実際の管理運営姿勢は素なのか繕っているのか、ですって?ご想像にお任せします、フフフ。

実際の流れ

 迷惑行為への対応の基本的流れは次の通りです。

  1. 迷惑行為と思しき行為の発生とその概要の認識
    • まずは或る程度の全体像を把握する事です
  2. まず深呼吸して冷静になる
    • 如何なる対応をとるにしてもそれは冷静且つ論理的に行うべきです。感情に任せてしまっては上手く行きません。これは全ての対応に於いても言えます
    • 管理者の対応はそのサイトの色をも規定してしまいます。その対応は衆人環視の下で行われている事を意識しなくてはなりません
  3. 投稿内容を確認
    • 冷静に読み、問題性の有無を確認します。問題性があると判断するならここで迷惑行為と判定します
    • 拾うべき主張や反面教師になりうる主張の有無は必ず確認します
  4. 対応
    • 『対話』、『警告』、『退去勧告』、『投稿禁止』、『ISPへの連絡』くらいが取れる選択です(重大性はほぼ順番通り)
    • 『対話』 は最優先です。話が通じて互いに納得しあえるならば一番良い解決方法です。迷惑行為者相手といえどもこれをあきらめてはならないと考えています。
    • 『警告』 は対話姿勢も無く迷惑行為を続ける場合に行います。警告の根拠は必ず提示します4。その根拠は十分に客観性があるか検討すべきです5。又、警告はこまめに行うべきです6
    • 『退去勧告』 は警告を行っても改善が見られない場合、対象者にサイトからの退去を提案するものです。強制力はありませんので効果は余り期待できません。寧ろ後の段階の布石としての意味が大です
    • 『投稿禁止』は迷惑行為をシャットアウトするには極めて有効ですが、火種を完全に消し去っては居らず相手との対話チャンネルをも無くすという事を忘れてはなりません。また、投稿禁止以降は迷惑行為の証拠の積み上げができなくなるというデメリットもあります。よって当方はそれをしなければどうしようもないような状況で無い限りは余りこの選択をとりません。
    • 『ISPへの連絡』 はあらゆる対話が功を奏さず、これ以上打つ手がなくなった場合に行います。投稿禁止では迷惑行為者が逆恨みし他所で暴れる可能性も有ります。これの抑制を期待できる策はこれしかありません。
  5. 事後報告
    • 事後報告をする事はメリットデメリットも多いので難しいのですが、当方は出来る限り行うようにしています。再発抑止効果を期待している部分もありますが、他の利用者も迷惑を受けた事は同じなので彼らにも知る権利はあると考えるからです。また、行った対応に問題がないか確認して貰おうという意味もあります7
    • 当方は可能な範囲で詳細に報告を行っていますが、全てを公開している訳ではありません。特に利用者に関する情報で管理者しか知り得ないようなものの公開、言及はそれがたとえ迷惑行為者のものであっても基本的に行いません。例えば、REMOTE_ADDRやREMOTE_HOSTがそれにあたります8。これらを公開する事は意味が無い割にはデメリットの方が大きいからです9

ISPへの連絡のコツ

 特に凝った事は必要ありませんが知っていれば得な事も多いです

  • 連絡時には迷惑行為者を特定し迷惑行為とはっきり判断できる証拠が必要
    • 当たり前といえば当たり前です。実際の連絡では『Apacheのログ』『PukiWikiの更新通知メール』10『当該編集を表示するeditlogのURL』を引用しています11
    • 投稿内容がしっかり確認できるのであれば連絡前に改竄箇所などの復旧を行っても問題はないようです12。寧ろ『迷惑行為→復旧→迷惑行為→復旧→…』となる事が多いので迷惑行為者の悪質性をさらに明確にする事ができたりもします13
  • ISPへの連絡用のテンプレ文を作っておくと良い
    • 大抵は似たようなものが多いのでテンプレを作っておくと時間を節約できます
  • ISP連絡の窓口は各サイトのフォームかメール
    • 大抵のISPは専用のフォームを備えていますが同時にメール窓口も準備しているところが多いです。ただ、それを見つけるのが極めて面倒な事が多いです。そういう時はそれらの連絡先をまとめたサイトもあるので参考にすると良いでしょう。フォームとメールのどちらかを選ぶかですがこれは報告者の好きでよいでしょう。経験上、対応に差は無い様に思います。ただ、メールの場合はフォームと違って手元に送信内容が残るので後々便利な事もあります14
  • ISPは迷惑行為者の情報や行った対応を教えてくれない
    • 法律などの絡みで基本的に何も教えてくれません。生ぬるい対応をとられてもこちらでは分からないのです。そうならないように証拠はこれでもかというほど集め説得力のある内容や文章にする必要があります
  • ISP対応は昔よりは良いがあまり期待し過ぎてもいけない
    • ISPには顧客が第一であろう事を考えると顧客ですらない人からの対応願いは相対的に軽くなるであろう事は想像出来ます15。とはいえ連絡の文面は出来る限り冷静であるべきです
  • ISPへの情報開示請求は本当の最終手段
    • 面倒な上にかなり大事になる割には得る物も大きくない為、検討する場合は慎重に判断すべきです。当方に於いては幸いこれを検討するような機会はありませんでした

対策 

システム面

  • ログは出来る限り細かく取れるようにする
    • ログは迷惑行為の証拠になります。証拠が無くては如何なる対応も取れません。よってサーバやWikiのログ取得機能はできる限り有効化しておくべきです。当方の管理下サイトでもそのようにしていますが、それでも未だ足りない16のでPukiWikiに於いてはeditlog機能という独自改造を加えて編集履歴を全て記録&追跡できる仕組みを追加しました。
  • 規制などを行う為の知識を身に着け、それを実現する機能を導入&使いこなせるようにしておく
    • 泥縄は避けるべきです
    • プロクシ規制・.htaccessの記述方法あたりを押さえておけばとりあえずは対応できます。但しそれらはそのままでは結構面倒17なのでシステム的に簡単に設定を弄れるような機能18があると便利です。
  • 以上の事が出来るように自分が使っているものに関して勉強をしておく
    • それこそ自力で改造できるくらいに。一度運用を始めたら機能が足りないからといってCMSを乗り換えるわけには行きません。そういう時は自力で何とかできると極めて都合が良いです

ルール面

  • ガイドラインなどの決まりを作っておく
    • 余りぎちぎちだと逆に敬遠されるので最低限に留めるほうがよいです。又、ガイドラインの修正窓口の用意やいい意味での運用の適当さをアピールする事は有効であると考えます
    • 出来るだけ見つけやすい所に置き、目を通すよう利用者に伝えることも重要です

方針面

  • 出来る限り管理者は黒子となり、個性の主張を抑制し、必要な時以外は出てこない
    • カリスマブロガーのサイトならば管理人の個性も十分武器になりますが、主役が利用者と編集者であるWikiでそれは不要です。寧ろ、その個性を嫌う方も出て来る可能性があるため、逆に有害です。よって能吏の如く粛々と業務に徹するのが一番かと思います
  • 何かをやったときは報告をするようにする
    • 『サボリ』と思われないようにというのもありますが、管理人が健在でありしっかり目を光らせているというアピールにもなります

そのほか 

  • 重大な発言などは必ず下書きを行う
    • 発言内容が重大であってもそれが何度も訂正・修正されるようではその価値は減じてしまいます
  • 管理下サイト外での中傷行為対策
    • 迷惑行為者が管理下サイトで暴れるなら手立ては色々あるのですが、他所で暴れた場合は打つ手なしです。その場合は無視が基本的選択になります。ただ、『大きな嘘も繰り返せば最後には信じられる』という事もある為、何らかの対応をしても良いかもしれません19。ただ、下手な反応は逆に『必死だなwWw』と思われて逆効果になりますのでやらないほうがマシです。中傷が明らかに馬鹿げていると皆に思われるように日々の管理業務を粛々と行う事の方が堅実な対策や対応として有効です。
  • 使えるリンク
    • 通報作業用・ISP連絡先一覧 (2ちゃんねるWiki)
      • http://info.2ch.net/wiki/index.php?%C4%CC%CA%F3%BA%EE%B6%C8%CD%D1%A1%A6ISP%CF%A2%CD%ED%C0%E8%B0%EC%CD%F7
    • プロバイダの逆引きホストwiki
      • http://www8.atwiki.jp/remotehost/

最後に 

 Wikiの管理はそう面倒なことではありません。理屈上は設置してメンテして適当に維持すれば良いのです。でもこれが案外面倒だったりします。矛盾していますよね?でもこの矛盾してるけど矛盾してない事をいかに理解するかが上手く管理人をやっていくポイントだと考えています。この辺が分かると迷惑行為の対応も逆に楽しくなってくるかも……しれません?!

 尚、本記事は迷惑行為が発生した場合、出来るだけ穏便に対処するためのまとめです。よって『炎上による集客』を狙う場合はここで述べた内容は役に立ちません。ただ、Wikiサイトにそのような手法は逆効果ですので考えなくて良いでしょう。

 Wikiは或る意味インフラに似たものであり、続ける事に意味があります20。当方はまだ特に止めるような理由も無いのでまだまだ管理下のWikiは維持し続けて行こうと思います。基本的にぽんこつな管理人ですが宜しかったら今後も生暖かくニヤニヤしていただければ嬉しく思います。

  1. システム的に防止できたり、発生してもそのままISP連絡やアクセス禁止をすればよい為 []
  2. この場合は本当の迷惑行為者になる前に上手くお引取り願うしかありません []
  3. 文章力やカリスマがあればある程度の乱れは許容されるし魅力にも武器にもなりますが、それは才能無き者がやるのは自殺行為です []
  4. ガイドライン等があればそれも必ず利用 []
  5. 客観性が無き場合は警告は逆効果 []
  6. 警告したのに無視された、という事実を積み上げると悪意の立証にかなり有効です []
  7. 独善に陥らないようにする為 []
  8. せいぜいISPまで。例 : Flets-*.*.*.*.tokyo.example.com 程度まで []
  9. REMOTE_ADDR&REMOTE_HOSTに関して言えば、日本では動的に割り振られる環境が多いので特定のそれらを晒しても意味は余りありません。しかしながら『IPを晒す』という事はかなりの人に嫌悪感を抱かれるのも事実です。よって『IPを晒す』事のメリットは殆ど無いと考えています。そしてこれはオマケですが「迷惑行為者のものすら晒さず、いわんや、一般利用者のものをや」という事も潜在的にアピールしてたりします。……は、言っては意味がないっ、おふれこでっ []
  10. 但し、独自改造で環境変数も一緒に記録するようにしてある []
  11. 勿論改竄されたページのURLやその改竄内容の説明も同時に行います []
  12. 今まで何か言われたことは無し []
  13. 多少黒いですが、こんな駆け引きに引っかかる迷惑行為者ならその程度もたかが知れるので或る意味安心してよいでしょう。ただ、善意の利用者に迷惑をかけてしまう問題もありますが []
  14. 文章使い回しとか、再発の確認とか []
  15. だからこそ証拠をしっかり集める事が重要。実際執拗な迷惑行為者の場合、1回の連絡では止まない事が多い []
  16. 同一編集者の追跡が困難、全ての編集ログを記録するとシステム負荷につながる等の欠点がある []
  17. 特に後者 []
  18. GUIで設定が出来るとか []
  19. 動かぬ証拠をそれとなく示して否定とか、『こんな事言われているぜ、HAHAHA!』とネタにしてしまうとか []
  20. とはいえ、公的ではなく私的なものであるということを理解せず主張ばかり繰り返して結果的に迷惑行為に陥るような方も最近は増えている気がします []

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