Fallout 3 Wiki JP立ち上げ時のアクセスの推移

 Fallout 3 Wiki JPの立ち上げ時付近のアクセスの分析を行ないました。

 新規Wikiを建てる場合、気になるのは立ち上げ時のアクセス集中です。扱う対象が人気/注目の対象である程立ち上げ時のアクセスは恐ろしい事になります。程度によっては無料サーバでは賄い切れず、有料サーバでも溢れてしまう事が有ります。
Fallout 3に関しても発売前から注目度の高いゲームであり、利用中のサーバで乗り切れるか予測が付きませんでした。立ち上げ時という一番大事な時にサーバエラーでまともに利用できなければ全く意味が有りません。そこで色々な対策を準備した上でその経過を記録に残し、公表する事で今後同様な事を経験するかもしれない方々の為の資料になるのではないかと思い、この記事を執筆しました。
本当はもう少し早くに書くつもりだったのですが、すっかり忘れていたのでした。

 ではまず、負荷対策のシステムです。これは2つのサーバを更に準備し、一方(ミラー1)はWikiの内容をHTML化したものをUP、もう一方(ミラー2)はそのHTML化したWikiをアーカイブ化したものをDL出来るようにしました。本体Wikiの閲覧&編集は編集認証Script経由でなくては出来ないようにしてあり、編集以外のアクセスはミラー1に飛ばすようにして編集に影響が出ないようにしました。この辺は発売前から準備し、十分に対応できるようにしました。この辺のシステムの詳細はFallout 3 Wiki JP:運営/負荷対策にて解説して有りますのでご参考下さい。

 次に利用したサーバです。
当時、本体WikiはCoreServerという有料サービスを利用していました。これは自由度が高いにも関わらず廉価なレンタルサーバです。CoreServerはかなり融通の利くサービスでは有りましたが、転送量は150GB/monthが目安とされています。つまり5GB/day位です。一日5GBってかなり余裕じゃないかと思われるでしょうが、当時、同じサーバに同居させていたOblivion Wiki JP (避難所)の転送量は約1GB/day。他にも翻訳Wiki等も同居しているのでマージンを見て2GB/day位と考えると残りは3GB。これは結構不安と予測しました。また転送量で大丈夫だとしてもアクセス集中でサーバエラー(503)が出る可能性も考えられました.
これらの問題回避には予備のサーバを準備して負荷分散を行なうのが適当だろうと判断、ミラー用のサーバ(ミラー1)を準備しました。ミラー1の方はXREAというサービスを利用しました。XREAは転送量制限が1GB/day辺りに有るのですが、HTMLファイルのみの静的なミラーなら何とかなるかなと判断したのでした。XREAは無料でも利用できましたが安定の為にミラー実行の期間内は有料サービス状態でお金を払って利用しました。アーカイブ化ファイルの置き場のミラー2はミラー1だけでは不安だったので又別に準備したものです。これもXREAを利用しましたが無料のままで使用しました。

 それでは、気になるアクセス量の推移を表にしてみましょう。
ミラー稼動時付近の推移です。各行は週ごとに区切っています。転送量の単位はGBです。
参考情報として、Fallout 3の発売日は北米では2008/10/28で欧州は2008/10/31になっています。また、ミラーの停止は2008/12/22に行なっています。


週先頭日 wiki.fallout3 mirror.wiki.fallout3 mirror2.wiki.fallout3
リクエスト数 転送量 リクエスト数 転送量 リクエスト数 転送量
2008/11/02 24,931 0.11 229,124 0.85 51,366 0.06
2008/11/09 23,213 0.13 303,243 1.32 65,755 0.09
2008/11/16 16,346 0.09 287,876 1.35 57,516 0.07
2008/11/23 9,475 0.05 266,082 1.29 49,534 0.06
2008/11/30 12,782 0.05 684,615 3.68 117,056 0.14
2008/12/07 18,102 0.08 1,362,449 5.96 182,164 0.7
2008/12/14 18,099 0.12 1,138,380 5.07 6,741 0.17
2008/12/21 1,140,023 8.87 232,018 0.09 3,770 0.07
2008/12/28 1,255,574 9.75 10,441 0.01 1,356 0.03
2009/01/04 1,015,438 8.07

これを見ると、最も集中した日は1GB/day位の転送量が出ているようです。ただ、ミラーのほうに関してはHTMLを出来る限りダイエットして転送量削減を行なったので、Wikiのままだった場合はその1.5倍くらいの転送量になっていた可能性があり、安心とは言いがたいレベルに達していたと思います(ミラー1は大体4.7KB/Request (2008/12/07の週)であるのに対し、メインのWikiでは8.3KB/Request(2008/12/28の週)となっている。つまり、リクエストごとの転送量の平均はミラーは本家の半分近くであり、これを踏まえるとミラーを使わなかった場合は結構危険だった可能性がある)。これらよりミラー1を稼動させた意義は有ったと判断します。
また、ミラー2のアーカイブ置き場も順調に転送量をたたき出しています。圧縮済みアーカイブは大体250KBくらい(未圧縮なら2MBくらい)であったことを踏まえると、ピーク時には約3,000回/weekのリクエストがあったと推測されます(2008/12/07)。負荷分散のお願いは結構アピールしていたので皆様に上手くご協力いただけたのがこの結果でしょう。もしこれがそのままミラー1の閲覧に回っていたら更に転送量は大きくなっていた可能性が有ります。ミラー2でのアーカイブ配布は負荷分散に効果的であったと評価できると思います。
 ついでに、2009/08にCoreServerからさくらのレンタルサーバに移行したわけですが、その付近の変動も見てみましょう。今度は月ごとで表にしています。2009/09だけ転送量が突出していますが、この月だけ転送データ圧縮処理を行なわない日が有ったためです。


年月 CoreServer Sakura
リクエスト数 転送量 リクエスト数 転送量
2009/01 4,892,272 42.64
2009/02 2,977,373 29.36
2009/03 1,877,700 18.06
2009/04 1,552,692 15.33
2009/05 1,634,795 16.04
2009/06 1,428,799 13.64
2009/07 1,329,376 12.70 128,185 2.65
2009/08 1,488,771 20.34
2009/09 1,368,782 12.89
2009/10 1,406,860 13.24
2010/11 1,621,800 16.15
2010/12 1,623,201 16.79

上述のように、サーバ移転時の設定をちょっとサボったために転送量が一時突出した事を除き特に変動は無いようです。ちなみに現在はさくらのレンタルサーバのビジネスプロプランを用いているのでとんでもないアクセス集中があったとしても余裕でしのげるはずです(CoreServerは150GB/monthが目安だったが、このプランでは数十GB/dayでも十分に耐えるとの事)。まぁ、4,500円/monthも掛かる現行プランと5,000円/yearの廉価プランと比べる事がおこがましいとは思いますが。

 かなり自己満足でまとめた上に結構適当な内容になってしまいましたが、気になる方はご参考くださいませ。

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